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Ingressで防犯パトロール “不審者扱い”一転、地域見守る存在に
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Ingressで防犯パトロール “不審者扱い”一転、地域見守る存在に

 スマートフォンを使ったリアル陣取りゲーム「Ingress(イングレス)」。駅や歴史的な建造物のある場所、「ポータル」を巡回するという特徴から観光振興に活用している自治体もありますが、巡回という行為を地域の防犯ボランティアに役立てるプレイヤーたちが登場し、ゲームを運営するGoogleの社内企業・ナイアンティックラボをも驚かせています。

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きっかけは深夜の職務質問

 2月上旬の午後11時ごろ、東京都東久留米市の西武池袋線東久留米駅前に20代から40代のIngressのプレイヤーたちが集まっていました。その中の数人は、市のロゴが入った蛍光色の腕章や防犯ベストをつけています。

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深夜、市の防犯ベストを着てIngressを楽しむプレイヤー=東京都東久留米市

 「市の防災防犯課に相談して、ゲームをしながら見回りをしているんです」

 そう話すのはベストを着た市内に住む30代の男性プレイヤー。ゲームが一般公開されてからすぐに開始したという熟練者です。仕事を終え、家族との時間を過ごしてから深夜にIngressをしていると「見回りの警察官と顔見知りになるほど」職務質問を受けてしまうのが悩みの種でした。

 そこで地域のIngress愛好者の集まりで出た、PTAの防犯活動に参加すれば不審者扱いされないのではという意見をもとに、市の防犯ボランティアへの参加を決定。メンバー7人で市に登録し実験的に活動を開始しました。深夜も堂々とIngressを楽しみたいプレイヤーと、ボランティアの人員を増やして犯罪を未然に防ぎたい市の要望がマッチしたわけです。ナイアンティックラボの広報担当者も「国内外で例がない」と驚きを隠せない様子でした。

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1時間の巡回で、見かけた歩行者はわずかだった

 この日は約1時間、人気のない路地などを歩き、ゲームが展開されるポータル付近に着いたらプレイヤーに戻ってスマホを取り出し操作するのを繰り返しました。男性は「ルートや時間帯は任されています」とあくまでIngressを優先する姿勢でしたが、歩いた道の脇には痴漢や空き巣への注意を呼びかける立て札が散見され、パトロールの効果にも気を配っているのがうかがえました。

 熟練者らしくポータルの位置を把握しているので、スマホの画面に見入ってトラブルを見逃すということもないそうです。事件に遭遇したら110番に連絡し自身の安全を守る行動をとるとしています。

市はプレイヤーを歓迎

 ゲームの“ついで”にボランティアをするというスタイルが不真面目に映るかもしれませんが、市はIngressプレイヤーたちの活動を歓迎しているようです。

 防災防犯課によると、現在2人以上で登録している防犯ボランティアの団体は約100。時間に余裕がある主婦や高齢者が多く、若い男性や遅い時間帯に見回りできる人が足りないという事情から、担当者は「若い方々が参加してくれるのは心強い」と喜んでいます。プレイヤー側にとっても活動報告書の提出や、回数のノルマといった決まりがなかったことが参加の後押しになりました。

複数団体の連携に行政の壁も

 一方で現実と仮想世界が融合するゲームならではの課題もあります。公的機関に申し込む際、住所や氏名などの個人情報をグループ内に知られることになります。Ingressは青(Resistance)と緑(Enlightened)のチームに分かれて競うゲームなので、敵チームに悪質なプレイヤーがいることを恐れ個人情報を教えるのに抵抗を感じる人が少なくないのです。

 実際、同行したグループのメンバーは全員青チーム。両チームのプレイヤーが一丸となって活動できれば防犯効果も高まりそうですが、安心してゲームとボランティアに取り組むには必要な区別なのかもしれません。

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午前1時になると、人通りがほとんどなくなる

 それぞれの市がボランティア団体に求める条件が少しづつ違うため、別の市に住むメンバーと連携を取りにくいという課題もあります。東久留米市と隣接する小平市に住むメンバーは「協力者という形で参加しています。各市が柔軟に対応してくれればボランティアに協力しようというプレイヤーも増えるのでは」と、行政の壁を越えた活動をしたいと訴えています。


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