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オーサーアワード2015に組み体操問題の内田良さん、パネルでは“炎上”の是非について議論も
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オーサーアワード2015に組み体操問題の内田良さん、パネルでは“炎上”の是非について議論も

 個人の書き手が問題に思っていることを記事として書き、日本最大のインターネットニュース配信サイト「Yahoo!ニュース」を通して発信する「Yahoo!ニュース 個人」のオーサー(書き手)が集まるカンファレンスが、1日に東京都内で開催。報酬を含むオーサーへの支援活動を強化し、編集側からの原稿発注や、記事の翻訳配信なども行って、良質なニュースが継続的に掲載されるような体制を作ることが発表された。1年間を通して社会に最もインパクトを与える活動をしたオーサーを表彰するオーサーアワード2015も発表となり、巨大化する組み体操の危険性を訴え続け、改善への動きを作った名古屋大学大学院准教授の内田良さんが、栄えある第1回の受賞者に輝いた。

「Yahoo!ニュース 個人」に優れた記事を寄せたオーサーを表彰するオーサーアワード2015

「Yahoo!ニュース 個人」に優れた記事を寄せたオーサーを表彰するオーサーアワード2015

 ヤフー代表取締役CEOの宮坂学さんからオーサーアワード2015のトロフィーを受け取った内田良さんは、「1回目の賞を受賞できて本当に良かった」と喜んだ。”見える化”というキーワードで、問題がありながらも見過ごされている事態を問い直し、解決のための道筋を考えようと呼びかけてきた内田さん。強大化する組み体操の危険性も、こうした意識から問い直された。

オーサーアワード2015を受賞した内田良さん(左)とヤフー社長CEOの宮坂学さん

オーサーアワード2015を受賞した内田良さん(左)とヤフー社長CEOの宮坂学さん

 内田さんによれば、「記事が出て、現場の当事者の方々が動いてくれるようになった。記事を持って行って組み体操を低くしたということがあり、学校や行政が動いてくれることもあった」という。「今回の受賞も、生活をしていらっしゃる方々に支えられてのもの。今後も、原稿を書いて社会の問題解決に貢献していきたい」と話して、様々な問題の”見える化”に取り組んでいく意気込みを語った。

組み体操の巨大化問題を早くから指摘し、社会を動かす記事を執筆した名古屋大院准教授の内田良さん

組み体操の巨大化問題を早くから指摘し、社会を動かす記事を執筆した名古屋大院准教授の内田良さん

“見える化”によって問題を顕在化させ議論の俎上に乗せる

“見える化”によって問題を顕在化させ議論の俎上に乗せる

 カンファレンスでは、内田さんのほか、ジャーナリストの江川紹子さん、かつて「酒鬼薔薇聖斗」を名乗り事件を起こした人物が、手記を刊行したことを取り上げたライター・リサーチャーの松谷創一郞さん、個人投資家で、ネット上のステルスマーケティング問題に切り込んだ山本一郎さんら「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーが登壇してのパネルディスカッションも行われた。

「社会の問題解決に向け、ネットの発信が果たす役割は」というテーマで行われたパネルディスカッション

「社会の問題解決に向け、ネットの発信が果たす役割は」というテーマで行われたパネルディスカッション

 「社会の問題解決に向け、ネットの発信が役割は」というテーマで繰り広げられたディスカッションでは、内田さんが「組み体操の問題を提起した去年の5月は、心折れるくらい批判ばかりだったが、エビデンス(証拠・根拠)を出していくと変わって来た。見ようとしてくれた」と、確信を持って活動を続ける大切さを訴えた。

パネルディスカッションに登壇した内田良さん

パネルディスカッションに登壇した内田良さん

「発見と言論が社会の課題を解決する」。それが「Yahoo!ニュース 個人」の目的だ

「発見と言論が社会の課題を解決する」。それが「Yahoo!ニュース 個人」の目的だ

 テレビ番組でも取り上げられ、コメンテーターとして出演した番組でその様子を見たという山本一郎さんは、「大反響だった」と振り返った。「小学校で組み体操で怪我をして怒られた時は、自分が悪かったと思っていた。時代が変わっていく中で、それは問題なんだということを発掘してくれた」と、内田さんの記事が持つ意義を評価した。

 山本さんの記事も、ネットメディアにおけるステルスマーケティングの問題を指摘し、新聞などが後追いをすることがあった。「働いている中で、違和感や不合理を感じていることがあっても、組織の中で黙っていることがある。慣習となっていることもある。それをメディアが取り上げなければ、みなが知らないということではない。発信するツールはあり、リスクを甘受できるなら出せる」と、ネット時代ならではの情報発信の可能性を示唆した。

ステマ問題などを厳しく追及した山本一郎さん

ステマ問題などを厳しく追及した山本一郎さん

 また、カンファレンスの中で、「燃えてなんぼ」と挑発するような言葉で、四方から批判を浴びるような記事でも書く必要があることを訴えた山本さん。「炎上を続けていくことで、議論が進むケースがある。過激なことを言う人がいても、証言などが出てやはりそうなんだとなって、分かったところから改めて議論ができる」と話した。

 発端は炎上でも、そこから何かしらの問題を提起し、解決への道筋につながるような取り上げ方が大切ということ。「きわどい議論は否定も来るしハレーションも起こすが、言い切った後で賛同者があって、違う意見を咀嚼しようとする人が数パーセントでもいれば、それが繰り返されて世の中が変わっていく」と訴えた。

 読まれる記事の書き方についても話が及んだ。松谷さんによれば「商業誌でライターとしてやってノウハウを投入して、小見出しをつけたり図表を入れたりと、当たり前のことを普通にやっている」ことが、読みやすさにつながっている様子。「ライターだった重松清さんは、女性誌では北海道でひとりでラーメン屋をやっているおばさんが、休憩時間に読むような記事として書いていたという。そういう想像力を持つことが必要」と、読み手のことを考える大切さを話した。

高校野球やギャル、映画など幅広い分野の記事で好評を得ている松谷創一郞さん

高校野球やギャル、映画など幅広い分野の記事で好評を得ている松谷創一郞さん

 山本さんは「一目置かれるために、きちんと調べて書くことはやっている。自分が書くことにはニッチな物が多いので、分かりやすく見てもらうために、政治的な問題をリンクさせるとか、賛否両論になるような話題の作り方をする」と、書き方の工夫を明かした。

松谷創一郞さん(左)と山本一郎さん

松谷創一郞さん(左)と山本一郎さん

 問題提起をし、解決への道筋も示すことが出来るようになった「Yahoo!ニュース 個人」だが、これからどうなっていくべきなのか。新聞記者を振り出しに、雑誌での活動も含めて長く活躍して来た江川紹子さんは、「新聞社の体力はかつてほどではなく、部数も減っている。雑誌も雑誌自体が無くなっており、取材費も人材もなくなっている」と既存メディアの停滞を挙げ、「ネットの媒体がとても大事になっている」と指摘。だからこそ「若い記者、若い書き手をどうやって育てるかを、ネットメディアは意識して欲しい」と訴えた。

ベテランジャーナリストの江川紹子さん

ベテランジャーナリストの江川紹子さん

 「週刊誌では、集めた情報をスタッフが裏付けに走り、確認できないなら掲載は止めるといった積み重ねができていた。Yahoo!でも、取材したものを裏付けるような人が編集者としているような、大きなメディアとして発展していって欲しい」とも話して、「Yahoo!ニュース」の取り組みへの期待を見せた。

 「Yahoo!ニュース」ではこうしたオーサーの活動を支援するような施策も、今回いくつか発表した。ひとつが執筆依頼。これまでも「Yahoo!ニュース」編集部がユーザーに届けるべきだと考える社会的に注目度の高いテーマを、オーサーに提案することは行ってきたが、今後は編集部から執筆を発注し、「Yahoo!ニュース 個人」に寄稿してもらう。記事の広告収入に基づく支払い、定額の原稿料などを支払い、必要なら取材費も提供する。海外メディアへ「Yahoo!ニュース 個人」の記事を翻訳し、配信する活動も行う。配信先は「Yahoo! Inc.」の閲覧履歴に基づいて表示されるタイムラインを予定している。

閲覧者の増加、活動場所の拡大、サポートの充実に取り組む

閲覧者の増加、活動場所の拡大、サポートの充実に取り組む

編集部によるオーサーへの原稿執筆依頼を開始、必要なら取材費も出す

編集部によるオーサーへの原稿執筆依頼を開始、必要なら取材費も出す

 オーサー活動の支援としては、オーサーの書籍を購入しやすくしたり、執筆した記事を出版社に紹介して本にしてもらったりといった活動を展開する。アクセス数ではなく内容の評価によって選んできた月間MVAのオーサーに対する広告収入に基づく支払い料率を、現行の50%から55%に引き上げる。副賞の10万円もこれまでどおり支払う。

活動をサポートし記事の質を高め閲覧者数を増やしサポートの充実に繋げる循環を作る

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記事の出版化にも協力する

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